私は1990年生まれであり、いわゆるエンタの神様世代である。この周辺世代なら誰でも思うことだろうが、あの番組に出てた、牛とカエルのコンビ。あれを操ってた黒子、誰なんだろう?という、疑問(まあ今やググったら素顔が出てくるらしいけども、私はネットリテラシーが高いのでそんなのには騙されない)。この疑問を今一度考えてみよう。今も昔も、真理に到達するには思考を重ねるしかないのだ。
設定上、パペットマペットとは牛とカエルの「コンビ名」である。つまり「パペットマペット」という人物は存在しない。この場合、つまり間にいる黒子は「虚無」であり、存在しない。しかしこれは設定上の話であるから一旦無視する。
つまりパペットマペットとは、上記のお笑いコンビを操る「顔を隠したピン芸人」である。これを前提とする。黒子の仮面をかぶっているのは誰か?という話である。なお、以下パペットマペットを「パペマペ」と略す。
まず、「彼は一人の個人」である、つまり「常にパペマペは同じ人物である」と言い切れるだろうか?
→言い切れない。彼は仮面をかぶっているのだ。つまり私たちは、彼がパペマペとしてステージに立っている時、彼の素顔を見ない。例えば今日のネタ中に彼の顔を暴いたとして、その人物が「昨日の、あるいは明日のパペマペと同一人物である」保証はない。そのため、常に同一人物である、と言い切ることはできない。
→つまり、「パペマペは複数人による集団である(持ち回り制である)」可能性がある。誰か?という話をしているのに可能性の範囲が広がってしまった。これは危うい。
複数人である可能性があるならば、せめてその範囲を確定できないだろうか。年代であったり、性別であったり。しかし、見た目で得られる情報は背格好くらいで、そこからわかるのは「子供ではなさそうだ」「日本語を使っている」といったくらいである。
パペマペは1998年に活動を開始したという。であれば、活動開始時点で子供だった人物や、彼の活動開始以降に生まれた人物は範囲から外れる、と言えるだろうか?
→そうとは限らない。結成当時に参加していなかったからといって、現在パペマペの一員ではないとは言い切れない。活動開始後に生まれた人物でも、十分に成長したのちにパペマペ集団に加入する可能性は大いにある。
前提として「ピン芸人である」ことを共有したが、「パペマペである可能性のある人物は芸人に限られる」と言い切れるのだろうか。
→そうとは限らない。たしかにパペマペは芸人として活動しているが、今、ステージ上にいる彼が芸人であるかは、やはりネタ中に顔を暴かない限り証明できないし、それは「昨日/明日のパペマペと同一人物である」保証にはならない。
例えばネタ作りは芸人が行い、その台本に沿って非芸人がネタを行なっている、という可能性もあるだろう。その可能性がある以上、「確実に芸人である」とは言い切れない。
結局、我々がわかっているのは「子供ではなさそうだ」「日本語を使っている」の2点のみである。この2点に合致しているならば、すべての人物にパペマペである可能性がある。
あなたは無意識に「パペマペは自分と無関係の誰かである」と思い込んでいないだろうか。しかし、あなたの友人、家族など、身の回りの人物がパペマペではないと言い切れるだろうか?
→言い切れない。例えばあなたが、その友人が芸能活動をしていないことを知っていたとしても、あなたと会っていない時にパペマペではないという証拠にはならない。つまり、あなたにとって、「会わない時間がある人」全てに、パペマペの可能性がある。
つまり「パペマペは集団である可能性があり」「あらゆる人物にその集団の構成員である可能性がある」のである。もちろんあなたの友人もその可能性の範疇に入る。こうなると、「あなた以外の全ての人物がパペットマペットである」可能性すらある。
以上までに「あなた以外の全ての人物はパペマペかもしれない」と判明したが、唯一、疑いの対象から除外している人物がいる。それは、あなた自身である。あなたは、あなた自身がパペットマペットではないと言い切れるだろうか?
きっとこう言うだろう。「違う。なぜならパペットマペットの活動をしたことがないから」
→しかし、その記憶が確かだと言い切れるだろうか?忘れている可能性は?眠っている間、あなたは部屋から一歩も出ていないと言い切れるだろうか?
→また加えて言えば、明日あなたがパペマペに加入しない保証はない(後からパペマペという集団に加入する可能性があることは既に証明済みである)。
しかしながら、「私はパペットマペットではない」ことを考えている今この瞬間、あなたはパペットマペットではない。それだけは確かであるし、確かに言えるのはそれだけなのである。
つまり、今回の結論は以下のようになる。
Cogito ergo Non Puppet Muppet.「我思う故に、我パペットマペットではない」。